昭和生まれの筆者の、子供の頃の感覚では、「10巻以上は人気マンガ」というイメージが漠然とありました。そこで今でも作品タイトルを聞くことの多い、アニメにもなっている1960~1970年代の主な作品の巻数を挙げると……。
・『巨人の星』全19巻
・『あしたのジョー』全20巻
・『タイガーマスク』全14巻
・『野球狂の詩』全17巻
……というように、現在のように何十巻もある人気マンガに比べて半分以下の巻数になっています。当時、社会現象にまでなったほどの作品でこのくらいで、当時のマンガは基本的に数年で完結するものがほとんどでした。
(略)
それでは、近年の『ONE PIECE』、『名探偵コナン』のような長期連載形式の連続ストーリー物の100巻超え作品は、どのような流れで生まれてきたのでしょうか?
メディアミックスで寿命が延びた人気マンガ
あくまでも筆者の私見ですが、いわゆる「ジャンプ黄金期」と言われる時代が、マンガの長期連載の要因になったと思います。
この前後のアニメにもなった、主だった「ジャンプ」の人気マンガ作品を年代順に並べてみると……。
・『Dr.スランプ』(1981?1986年)全18巻
・『キン肉マン』(1983?1986年)全36巻(当時に発売されたもの)
・『キャプテン翼』(1983?1986年)全37巻
・『キャッツ・アイ』(1983?1984年)全18巻
・『北斗の拳』(1984?1988年)全27巻
・『ハイスクール!奇面組』(1985年-1987年)全20巻(『3年奇面組』全6巻含まず)
・『ドラゴンボール』(1986?1997年)全42巻
・『聖闘士星矢』(1986?1989年)全28巻
・『シティーハンター』(1987?1991年)全35巻
・『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』(1991?1992年)全37巻
・『幽☆遊☆白書』(1992?1995年)全19巻
・『SLAM DUNK』(1993年-1996年)全31巻
……といったように、アニメの放送話数に比例して徐々に発行巻数が伸びてきている感じに見えます。そう考えると、連載の長期化はアニメ化によるコンテンツの拡大などが要因かもしれません。
この時期の「ジャンプ」マンガでよく漏れ聞こえるのが、「作者がやめたくても編集部が連載を続けさせる」という話です。上述したようにマンガのヒットでアニメ化され、アニメでもヒットすることで生まれた二次収益などで、作者であっても容易に連載を終わらせることができなかった。……そういったエピソードがあったのも、この時期くらいからでした。
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