贈呈式は6月7日、東京・築地の浜離宮朝日ホールで。マンガ大賞には正賞のブロンズ像と副賞200万円、新生賞、短編賞、特別賞にはそれぞれブロンズ像と副賞100万円を贈る。
■「このままゴールまで、全力で走り続ける」 大賞の野田サトルさん
日露戦争の武功から「不死身の杉元」とあだ名される主人公が、狩りの達人であるアイヌ民族の少女と共に、隠された金塊を探して北海道の山野を行く。アクション、ギャグ、グルメ、歴史、アイヌ文化の細緻(さいち)な描写と盛りだくさん。自称「和風闇鍋ウェスタン」だ。
「栄誉ある賞をいただき感無量の思いでございます」。今月からテレビアニメも始まり好評だ。「いいタイミングでうれしい」
2014年に連載を始め、物語は現在「6合目あたり」という。「週刊連載はしんどいので、早く最終回にたどり着きたいと思う半面、残り少なくなってさびしい気もする」
軍、新選組の残党、脱獄囚らが入り乱れるバトルロイヤルには、どんな結末が待っているのか。ラストの構想は既に決まっている。
「1巻からまた読み直したくなるような、気持ちのいい大団円にしたい。このままゴールまで、全力で走り続けます」
■選考経過「面白さ安定」3回目の候補で大賞
選考対象は国内で昨年に刊行・発表された作品。最も優れた作品に贈るマンガ大賞は、社外選考委員の投票(持ち点15点で1作につき最高5点)による上位10作と、専門家や書店員の推薦1位の作品を合わせ、最終選考会で議論した。
投票、推薦ともに1位の「ゴールデンカムイ」が3年続けての候補入りで押し切った。「今年こそ推したい」(里中)、「面白さが安定している」(ヤマダ)と意見がまとまった。
「BEASTARS」は「スピード感ときらめきにひかれる」(杏)、「今一番輝いている」(秋本)と支持を集め、清新な才能に贈る新生賞に。「大家さんと僕」は新生賞に推す声もあったが、「完成度が高い」(中条)、「構図も省略もうまい」(南)と評価され、短編賞に決まった。
特別賞は、18年ぶりの単行本「ひねもすのたり日記」を出したちばてつやさんに対し、「長年の業績とマンガ文化への貢献も大きい」と推す意見が委員から上がり、朝日新聞社が選んだ。
1次選考結果(4位まで)
①「ゴールデンカムイ」(野田サトル、集英社)=8点(里中5、ヤマダ3) ※関係者推薦1位
①「約束のネバーランド」(原作/白井カイウ、作画/出水ぽすか、集英社)=8点(秋本4、杏4)
③「傘寿まり子」(おざわゆき、講談社)=6点(里中4、ヤマダ2)
④「BLUE GIANT」(石塚真一、小学館)=5点(杏5)
④「MATSUMOTO」(作/LF・ボレ、画/フィリップ・ニクルー、誠文堂新光社)=5点(みなもと5)
④「蒼(あお)き鋼のアルペジオ」(Ark Performance、少年画報社)=5点(秋本5)
④「うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち」(田中圭一、KADOKAWA)=5点(ヤマダ5)
④「狂気の山脈にて」(田辺剛、KADOKAWA)=5点(中条5)
④「先生の白い?(うそ)」(鳥飼茜〈あかね〉、講談社)=5点(南5)
④「それでも町は廻(まわ)っている」(石黒正数、少年画報社)=5点(桜庭5)(小原篤)
https://www.asahi.com/articles/ASL4F5K3RL4FPTFC00V.html
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