まず格闘系漫画の解説者としてまっさきに思い浮かぶのが、ジャイアント馬場とアントニオ猪木だろう。前者は『タイガーマスク』で実際のプロレス中継同様に放送席に陣取り、情報を提供していた。実在する人物が漫画に登場することで、リアリティと説得力をもたせることに成功した例である。
問題はもう一方、『プロレススーパースター列伝』に登場したアントニオ猪木だ。実在のプロレスラーの成り立ちを紹介していくこの漫画において、所々で個々のエピソードに対してコメントを挟んでくるのである。ご丁寧に「アントニオ猪木、談」の一文と自身の似顔絵を添えて。当時のプロレスラーの真偽不明の仰天エピソードに太鼓判を押すようなこの猪木の解説は、やはり読者にとって絶大な説得力があり、みなそれらのエピソードを信じてしまったのだ。「アントニオ猪木(談)」ーーなんとも罪な一文である。
■優秀な解説者の条件
二人に共通するのはその道(プロレス)に精通し、カリスマとしてリスペクトを集める存在であるということである。誰よりもプロレスを知り尽くし、数多の戦いに身を投じた二人だからこそ、世界各国のありとあらゆるレスラーや格闘技の情報に詳しくても、何の疑問も感じることはなかった。ここに格闘漫画の解説者のスタイルが確立されたと言ってもいいだろう。その条件とは、
「選手もしくは元選手」であり、「自身も技に長け」、その「経験や探究心」から、「幅広い知識」を持ち、「その道に精通」していること。である。
そして80年代の「週刊少年ジャンプ」にて、今も語り継がれる2大解説者が誕生することになるのだ。そう、『キン肉マン』のテリーマンと『魁!!男塾』の雷電である。
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アニメだとね